【仮想通貨と確定申告】コラム ひょっとして棚卸資産の評価方法は、「先入先出法」が最強!?
先日のコラムにて、三分法による記帳で大幅な省力化ができる可能性について検証しました。
最終的にネックになったのが、商品有高帳の記載。つまり、取引の記帳は対日本円取引のみで済むのですが、商品有高帳は仮想通貨間取引もすべて記帳しなければならないので、この点の省力化ができないということです。
そして「最終仕入原価法」を用いれば、商品有高帳の記載は不要になりますよと書きました。でもデメリットも大きいんです。
しかし、はたと思いつきました。
もう一つあるではないですか!
「先入先出法〜」(♪ドラえもん風)
ダウンロード可能なファイルでは、「移動平均法」を採用しています。Excelで商品有高帳をつけるのに計算しやすく、かつ、実際の取得原価に則した値が得られるのが理由です。しかし反面、期首付近の取引の値が少なからず最終的な取得原価に影響しますので、商品有高帳をつけていない場合は期末時点から遡って在庫ポジションの取得原価を計算することができないのがデメリットなのです。
「最終仕入原価法」ならば、その期の最後に取得したポジションの取得原価をそのまま在庫ポジションの取得原価とできるので、商品有高帳をつける必要はなくなりますが、いかんせん価格変動の激しい仮想通貨、在庫ポジションのすべてを、最終取得時のポジション価格で行えば、今年のような上昇相場では在庫の過大評価となり、当期の納税額が膨らんでしまいます。。
先日まで、ここで手詰まり、となっていたのですが。
ありました。「先入先出法」♪
計算のロジックはこちらを参考にしてください。
計算方法は?
簡単に言えば、売却は先に取得したポジションからおこなったとして商品有高帳を記帳してゆく方法です。(記帳はちょっと面倒)
でも頭を切り替えると、先入先出法を採用すれば、商品有高帳を記帳せずに在庫評価を行う、ということが可能なのではないでしょうか?
「先入先出法」では、在庫ポジション、つまり最後に残っているポジションの取得原価は、最後に買った時の価格から遡って考えれば良いことになります。
例をあげましょう。
期末に7BTC持っていたとします。
この取得原価を知りたい時は、期末から購入履歴を辿ります。
12/1 2BTC@100万円
11/1 3BTC@80万円
10/1 5BTC@60万円
はい、10/1まで辿ったら、7BTCを超えました。
この7BTCの取得原価は、
2BTC × 100万円 + 3BTC × 80万円 + 2BTC × 60万円 = 560万円
となります。
もしお分かりでない場合は、上記「犬簿記」さんのサイトをよく読んでみてください。
つまり、「先入先出法」なら商品有高帳をつけなくても、実際の取得原価に則した棚卸評価額が得られるというわけです。
これで、三分法による楽々記帳&きっちり納税が実現!となりそうです。
ちなみに「先入先出法」を採用する場合には、あらかじめ税務署に書類を提出する必要があります。過去記事で紹介しておりますので参考にしてください。ちなみに書類の提出が必要なのは個人事業主ないし法人の場合です。個人の雑書得申告の際に「先入先出法」が適用できるかどうかは、所轄の税務署に確認してください。
いざ税務署へ!
というわけで平日に時間がとれた本日、早速税務署に行ってきました。
しかし僕の場合は今年開業届を出した際、すでに「移動平均法」を採用すると書類を提出済みなので、年度内の変更はできない、という結果と成りました。。無念。(国税のページにもちゃんとそう記載がありますので、税務署職員の方は悪くありません。)
まだ1回も決算をしていないので、特例的に訂正を認めてもらえないかワンチャンに賭けてみたのですが、やっぱりそうは問屋がおりませんでした。
提出期間の定めが当該年度の3月15日までとなっておりますので、今年はもう変更ができません。来年度になったらダメもとでまた出しに行ってみます。
これからご新規で提出される方は、あとから気軽に変更することはできなくなりますので、ぜひ慎重に選択して提出してください。
以上、夢の三分法による楽チン記帳、は実現可能という記事でした。
しかし長々解説しているダウンロードファイルの記事のありがたみが一発でぶちとんでしまうほどのインパクトです。。
とりあえず「移動平均法」で決算する今期には(「先入先出法」への変更が認めてもらえなければ来年以降も(泣))利用価値がありますので、責任持って最後まで解説いたします。よろしければもうしばらくお付き合いのほどお願いいたします。(早く書かないともう年末!)