暮しの仮想通貨

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【仮想通貨と確定申告】その8 「仕訳帳」の記帳

今回は、シリーズ8回目。

脱線が多くて進みが悪いのはご愛嬌。

シリーズ6、7回目は脱線してましたので、今回の記事は5回目の続きとなります。 

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5回目記事では、「商品有高帳」への記載について学びました。

おさらいしますと、「商品有高帳」を記載する目的は、仕入れ単価を正確に把握するためでした。

 

さて、今回は「仕訳帳」への記載を学びます。

「仕訳帳」は、事業で行われるさまざまな取引を記録する、大元になる帳簿です。

5回目で説明した取引を振り返り、今回は「仕訳帳」を実際に記帳してみましょう。

「複式簿記」入門

前回(5回目)の記事を振り返り、その記事で例に挙げた取引を、今回は「仕分帳」に記帳してゆきます。ぜひ前回記事を横に開いて、「商品有高帳」への記帳を確認しながら読みすすめてください。ではまいります。最初の取引は、

1月5日。リンゴを10個、総額200円で仕入れました。

でした。仕訳帳への記帳は、

日付 借方 金額 貸方 金額
1/5 商品 200円 現金 200円

こうなります。

簿記の基礎の解説です。ちょっとだけ我慢してお付き合いください。

現金200円を支払い、リンゴを仕入れた、という取引ですが帳簿の左と右に2回、200円を書きます。

 

繰り返し言います。2回書きます。

はいこれポイント。

 

同じ数字を、2回書く。

理由はともかく、2回書く。

何度でもいいます、2回書く。

 

2回 = 複数 = 複式

 

はい、「複式簿記」! この方法で行う記帳を「複式簿記」と呼ぶんですね。

先日の記事にも書きました。 仮想通貨取引を行うなら、個人事業を開業したほうがお得! しかも、「複式簿記」で記帳すれば、65万円も余計に控除できてさらにお得! なのでした。 この機会に、マスターしてしまいましょう、「複式簿記」。

 

2回書くといいこと。それは、単なる現金の移動量だけでなく、その意味を集計することが出来るようになるからなんです。

帳簿に書いた「商品」というのは、仕入れた商品の残高です。リンゴだろうがバナナだろうが、仕入額の合計は「商品」という項目で集計されます。 この項目を簿記では「勘定」と呼んでいます。 今回記入した、「商品」「現金」はいずれもそういう名前の「勘定」(=項目のようなもの)と覚えてください。

帳簿に出てきた「借方」「貸方」というのも簿記ならではの呼び名です。 なんで左が借りで、右が貸しなの?というのは、 僕も知りましぇん! 単なる呼び名ですよ。きっと。気になった方はググって(急遽無責任)。

呼び名よりも重要なのは、 左がプラス、右がマイナス ということ。さっきの帳簿、

日付 借方 金額 貸方 金額
1/5 商品 200円 現金 200円

でした。

つまり、商品が200円プラスになり、現金が200円マイナスになった、という意味です。 そう、仕入れとは、現金を払って商品(在庫)を増やす行為ですよね。 なので増えた商品は左側、減った現金は右側に書くんですよ。

ここまで理解できたら次の取引を記帳しましょう。

1月10日、リンゴはまだ1個も売れていませんが、リンゴが安くなったので追加仕入れ。リンゴ10個を総額100円で仕入れ。

はい、くだもの屋さんナンピン買いしました。

仕訳帳への記載は、

日付 借方 金額 貸方 金額
1/5 商品 200円 現金 200円
1/10 商品 100円 現金 100円

「商品」が100円ふえて、「現金」がさらに100円減りました。 どんどん行きましょう。

1月15日、リンゴ5個を200円で販売。

やりました、今年初の利益です。 売上げの記帳です。

日付 借方 金額 貸方 金額
1/5 商品 200円 現金 200円
1/10 商品 100円 現金 100円
1/15 現金 200円 商品 75円
      商品販売益 125円

「商品有高帳」には記載しなかった、「商品販売益」の記帳が初めて登場しました。

「現金」が200円増えたので、「現金」は左側に記入。 そして200円の売上げの元となった商品の原価は、5リンゴ×@15円=75円なので、「商品」75円をマイナス。なのでこれは右側に記入。

先ほど、左がプラス、右がマイナス、と書きました。 なるほど、「現金」は200円増えたので左側に書き、「商品」は75円分減ったので右側に書くのは納得。しかし「商品販売益」は増えたのに右側に書くのはなんででしょう? 理由は、

「商品販売益」は右に書くとプラス、左に書くとマイナスという「勘定」だから。

ちょっとだけややこしいですな。 でも、勘定によっては、右に書くとプラスになるものもあるんです。 大丈夫、そのうちしっくり来ますよ。ここではそんなものだと思って流しておきましょう。

さて次の取引。

1月20日、リンゴ6個とバナナ3本を交換しました。

帳簿を見ましょう。

日付 借方 金額 貸方 金額
1/5 商品 200円 現金 200円
1/10 商品 100円 現金 100円
1/15 現金 200円 商品 75円
      商品販売益 125円

あれ、何にも記入が増えていません。 そう、物々交換は、「商品」勘定内でのやり取りなので仕訳帳には記入しないんです。 仕訳帳に記帳するのは、あくまでも「金額」の移動を伴う取引のみ。

ここの「金額」の意味ですが、日本円の価値の移動、と捕らえてください。「現金」の移動のみではないんです。 たとえば普通預金の残高だったり、未払いの商品代金だったりとか、日本円の価値が移動した場合には記録をしてゆきます。

集計します

5回目で「商品有高帳」に記載した取引の記帳は、これで全て終わりました。さて、それでは各勘定の残高を集計してみましょう。

商品と現金は左に書くとプラス、右に書くとマイナスでした。

商品 200円 + 100円 - 75円 = 225円

現金 -200円 -100円 + 200円 = -100円

商品販売益は右に書くとプラス、左に書くとマイナスです。

商品販売益 125円

1年分の取引でも集計方法は同じ。ひたすら足してゆくだけです。

どうでしょう、この集計の結果分かったのは、

  • 225円分の商品(在庫)が残っている。
  • 現金は100円減った。
  • 商品販売益(利益)は125円あった。

1年の商売の結果、利益が125円であれば、これに税率をかけたものが実際支払う税金になります。 もし税率が30%であれば、125円×30%=37.5円。これが税金です。 実際の税計算はもうちょっと複雑ですが、だいたいこんなイメージで計算します。

あと注目すべきは、現金は100円減っているのに、税金はしっかり発生していることですね。 これは仮想通貨取引でも実際にもありうることです。 1年の途中で利益が出ていも、その利益で新たにポジションを持ってしまったりしたら、年末には現金がないかもしれません。ちゃんと帳簿をつけていないと、手元に現金がないから、利益が出ていないって勘違いして確定申告しないなんてこともあるかもしれません。これって、しっかり脱税になってしまいます。正確な利益の把握って本当に大切です。

記帳方法について

今回の「仕訳帳」の記載では、「商品」という勘定を使用しました。 この「商品」という勘定を用いる方法は、「分記法」と呼ばれ、簿記の世界ではどちらかというとマイナーな記帳方法です。

この方法では売上げが上がる度に、仕入原価と、利益を計算して記帳しました。つまり、仕入原価相当の「商品」勘定を減らして、その場で「商品販売益」を計算します。このように売上げの都度利益計算を行うので、記帳時の手間が増えます。

しかしメリットは何と言っても、売上げの都度利益がはっきりと分かることです。先ほど手間が増えるといいましたが、「商品有高帳」をまじめにつけていれは簡単に仕入れ単価がわかりますので、手間が増えるといっても、そんなにすごく手間なわけではありません。せっかく面倒な「商品有高帳」をつけているのですから、手間ついでに、売上げの都度利益を計算してしまったほうが、いつでも利益がわかる、つまり、その年に収めるべき税金も概算できる。これにより売買計画が立てやすくなりますから、メリット絶大ですよ。

一般には、「三分法」と呼ばれる記帳方法が多く採用されます。これは、売上げ時には「商品」ではなく「売上」、仕入れ時にはやはり「商品」の代わりに「仕入」として記帳します。 利益は決算をすることで初めて求められます。その方法は、7回目の記事で解説した通り。 この方法なら売上げのたびに利益計算をする必要がなく、面倒な「商品有高帳」も不要。

しかし、仮想通貨取引はFIAT通貨を介さない、物々交換のような取引をする機会が多いので、「商品有高帳」をつけていないと、取引時点での取得原価がさっぱりわからなくなります。アルトコイン対BTCの取引はもちろん、昨今流行のChangellyなどの通貨交換サービスを利用すれば、どんなペアでも交換が可能。こうやって交換を繰り返していると、日本円での取得原価なんで、全然分からなくなりますよ。なので「商品有高帳」の記帳はマスト。せっかく面倒な「商品有高帳」をつけるのなら、ついでに「分記法」で「仕訳帳」をつけておけば、利益も常に把握できてとってもメリットが大きくなりますよ!

今日のまとめ

お金の流れは「仕訳帳」に記帳。
「分記法」を採用すれば、利益も概算の税額も瞬時に把握できてメリット絶大。

次回に続きます。

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